「恋を何年、休んでますか」

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眞木準(まき じゅん)さんという方を、ご存知でしょうか。

一言で言うと、伝説的なコピーライターの方です。
「一言キャッチコピー」がものすごく流行ってた時代の、
最先端で活躍された方、と言うとイメージしやすいでしょうか。

中畑貴志さんや、糸井重里さんなんかも
お名前聞いたことがあるでしょうか?
「おしりだって洗ってほしい」
「おちこんだりもしたけれど、わたしは元気です」
あんな感じです。
(ざっくりしすぎ?)

※ちなみに、おしりの方は、中畑氏のtotoのウォシュレットのコピー、おちこんだり〜の方は、糸井重里氏の、ジブリの魔女の宅急便のコピーです。ちなみにちなみに、今回の記事タイトルは、眞木準氏の伊勢丹の広告コピーで、コピーとして使われるだけでなく、その後ドラマのタイトルにもなったので有名になりました。

さて、眞木先生は
2009年にお亡くなりになっているんですが、
私は一度だけお会いしたことがあります。
某コピーライター養成講座で、
ゲスト的な感じでいらっしゃっていて。
眞木先生の著書を買ったらサインしてもらえたのです。
「hitomiちゃん、ガンバッテ!」
と言って下さりながら。

ちょうどお亡くなりになる少し前だったので、
2008年とかそこらのことだったと思います。
当時60歳くらいだった眞木さんは、
黒づくめの服に身を包み、
ダンディでニヒルな、
今でいう「イケオジ」的な、
いやもっと、
企業の闇も、
酸いも甘いも知り尽くしましたよ的な、
なんかとにかく、
迂闊に近づけないようなオーラを放っていました。

当時20代前半の小娘だった私は、
「こっ、これが、大物・・・!」
と言う、小学生並みの感想を抱きました。

コピーライター講座と言っても、
ああいうのは結局、
ただ受講するだけじゃダメで。
そこで、いかに人脈を作るだとか、
いかに先生(現役最先端のコピーライター)
に質問しまくってコミュニケーション取るかだとか、
コンテストに応募しまくって賞を取るとか、
ポートフォリオを企業に持ち込みまくって自分を売り込みまくるだとか、
なんか、ただ受動的に講座を受けるにとどまらない、
そう言うガッツが必要だったんですね。

でも当時、
「そんなガッつきたくない」
と言う厨二病的なプライドの持ち主な
小娘だった私は、
そう言ったチャンスを全く活かすこともなく、
なんのチャレンジもせず、
何もつかめずに、終わりました。

確かにコピーライティングの、
基礎的なことは学べましたし、
一応合格ラインのコピーは書けないこともありませんでした。
(ちなみに同じコピーライティングといっても、
 大手広告会社で大きなマスメディアを使うようなコピーです。
 私が今取り組んでいるweb系のコピーライティングとは、
 また全然違うものです)

でも結局私は、
その経験を全く活かすことができませんでした。

その後、体調を崩したりだとか、
精神のバランスが取れなくなってしまったりだとか、
地元を離れられなかった、だとか
色々な事情が重なり、
結局、私は広告会社に就職することはできませんでした。

必然的に、コピーライターへの夢は敗れ、
ごくごく普通の、
割と誰にでもできる系の、
事務仕事をしてその後は食いつなぎました。
(お茶汲みとか、雑用とか、そんな感じです)

夢破れた時に、
コピーライターを目指していた頃の資料は
見るのも苦しくなって全部捨てたんですが、
なんかこの本だけは、
捨てられなかったんですね。
売ろうにも名前付きサイン入ってますからね・・・!
それ以前に、ありがたくて
とても売る気になれません。

なので、ずっと本棚の隅っこで、
ひっそりと眠っていたのです。

しかし、色々紆余曲折の末、
私は今、こうして、形は違えど、
web関係のコピーライターとして、
活動を始めています。

最初に目指していた、
大手の広告会社で、
大きなマスメディア使って、
バーンと、駅全体をジャックしちゃったりとか
そう言う大きプロモーションをかけるような、
大企業がスポンサーに着くような、
そういうコピーは書いてませんが、

それでも、やっぱり私はこうして
文章を書くことから離れずにいられて嬉しいなと言うか、
やっぱり私は文章を書かずにはいられないんだと思います。

今回たまたまこの眞木先生の本を手にとって、
ぱらっとめくったら、
眞木先生の直筆で、
「恋を何年、休んでますか」
と書いてありました。
当時、これを書いてもらった20代前半の私は、
まあ一応普通に恋はしてるつもりでしたから、
全然ピンと来てなかったんですが、
アラフォー二児の母になってこれ言われると、
なんかドキッとするわけです。
(じゅ、10年ぐらい・・・かな?)
(いや、でも体操のお兄さんとか好きだし、
 恋してるっちゃしてるのかな・・・!?とか 笑)

まさか眞木先生、
私がアラフォーになってこれを見返すのを
見越していたんじゃ・・・!?

伝説のコピーライターなら、
それぐらいお見通しだったかもしれない・・・!

と言う冗談はさておき。
(いやあながち冗談でもないと思ってますけど)

実は今回、
この本をパラパラとめくって、
今回一番心に残ったのは次の言葉なのです

「コピーライターは、しょせん資本家の手先にすぎない。すぎないが、つくるコピーに真実のメッセージが込められていれば、読者の心をゆさぶることができる。そう言うコピーには、よくも悪くも、書き手の全人生があぶり出される。」

私は過去に企業のコピーライターに挫折した時、
どこかで、「資本家の手先になりたくない」
と言うような、まあ厨二病的なことを思っていました。

綺麗事言えば、
「自分の言葉を汚したくない」
みたいな。

現実的には、結局社会に適応できなかっただけなんですけど。

でも、今、時代は、変わりました。
大手の広告コピーもまだありますが、
今はもうそれだけが影響を持つ時代じゃないです。

大げさに言うと、
一億総ライター時代です。
なぜなら、誰でもその気になれば、
すぐSNSで言葉を発信できる。
Twitterの何気ない一言が、
不意にいきなりバズって、
何万いいねもらったりする。

そんな時代になりました。

私は今、こうして個人のコピーライターを初めて、
資本家の、企業の手先になることに対して感じていた嫌悪感や違和感からは、
綺麗に解放されました。

誰の手先にもならず、
スポンサーの目や圧力など気にすることなく、
自分の信念を、
好きなだけ発信できる。

今は、そう言う時代なんです。

だから、私は、新しい時代のコピーライターとして、
自分にできることをやっていこう、
世の中をもっとよくするお手伝いをしていこう、
と思っています。

もしかしたら、
十数年前の眞木先生は、
私に一言のコピーを通じて、
時空を超えて、
今のアラフォーの私に
エールを送ってくださっているのかも知れない。

そんな気がしました。

「恋を何年、休んでますか」

私が当時、サインしてもらったのはこの本です。
「一語一絵 眞木準」

当時お会いしたイケオジ眞木先生の雰囲気そのままの、
黒い高級感のある、重厚な装丁です。
(当時と変わっていなければ・・・!)

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